日本では2026年8月13日、「国旗の損壊等の処罰に関する法律」が施行された。国旗を傷つける行為を一律に処罰する仕組みではなく、行為の公開性や方法が要件となる。一方タイでは、国旗法と刑法に、旗や国家の象徴への侮辱行為を対象とする別々の規定が置かれている。両国の条文上の要件と罰則を整理する。
日本の新法は「公然」と行為の方法を要件にする
日本で8月13日に施行された法律は、国旗及び国歌に関する法律が定める日本国旗について、公然と、他人に著しく不快感または嫌悪感を抱かせるような方法で、損壊、除去、汚損する行為を処罰の対象とする。法案要綱では、罰則を2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金としている。
条文上、対象となるかは国旗が傷ついたという結果だけで決まる構成ではない。公然性に加え、行為がどのような方法で行われたかが要件に含まれる。個別の事案で法律が適用されるかどうかは、捜査・司法手続において具体的な事情を踏まえて判断される。
タイの国旗法は1979年制定
タイでは仏暦2522年、1979年に相当する国旗法が制定されている。同法は国旗に限らず、王室旗、軍旗などを含む旗の種類、意匠、掲揚・使用に関する枠組みを定める法律である。
同法第54条は、法令で定められた旗、その旗の模造物、または旗の色帯に対し、侮辱的な性質を持つ行為をした者について、6か月以下の拘禁刑、1,000バーツ以下の罰金、またはその併科を定める。タイの法制委員会には、国旗の配色を装飾に用いた衣料品などと同法の関係を検討した記録もある。
刑法118条は「国家を侮辱する目的」を規定
タイ刑法118条は、国旗または国家を意味する他の標章に対して、国家を侮辱する目的で何らかの行為をした場合を対象とする。罰則は2年以下の拘禁刑、4万バーツ以下の罰金、またはその併科である。タイ陸軍第2方面軍の国旗に関する公表資料にも、同条の内容と罰則が示されている。
国旗法第54条と刑法118条は、いずれも旗などに対する侮辱的行為を扱うが、条文上の要件と刑罰は同一ではない。刑法118条では国家を侮辱する目的が明記され、国旗法第54条は対象となる旗や模造物、色帯を含めて規定している。
処罰対象の比較で重要となる条文上の条件
日本法は、公然と行われたことと、著しい不快感または嫌悪感を抱かせるような方法であったことを要件として列挙する。タイでは、国旗法と刑法が別に存在し、前者では侮辱的な性質を持つ行為、後者では国家を侮辱する目的が焦点となる。
そのため、国旗を燃やす、破る、踏むといった行為の名称だけから、直ちに各国の法的評価を導くことはできない。日本とタイの規定はいずれも、条文が定める行為態様や目的などの条件を踏まえる構造になっている。

