タイ北部チェンマイの文化遺産群「ランナー王国の都」は、2027年の第49回世界遺産委員会で審議される推薦案件に入った。タイ政府が進める登録準備と、UNESCO資料に記された推薦内容をもとに、候補地の構成と今後の審査手続きを整理する。
UNESCOの2027年審議リストに掲載
UNESCO世界遺産センターが2026年6月に公表した文書は、「Monuments, Sites and Cultural Landscape of Chiang Mai, Capital of Lanna」を2027年の第49回世界遺産委員会で審議する推薦案件として掲載した。文書では、タイからの推薦書を2026年1月14日に受理し、完全性確認を終えた案件としている。
同案件は文化遺産として、登録基準(ii)と(iii)を掲げる。UNESCOのタイ国ページでも、チェンマイの「ランナー王国の都」は2015年から暫定一覧表に記載されている。暫定一覧表入りは登録を意味するものではなく、正式推薦に向けて各国が検討する遺産の一覧である。
旧市街だけでなく、都市と宗教空間を含む構成
タイ政府は、推薦区域を三つの主要グループとして示している。第一は城壁、堀、城門、城郭の角部と、ワット・チェンマン、ワット・チェディルアン、ワット・プラシン、ワット・スアンドークなどを含む都市中心部のグループである。
第二はワット・ウモーン・スアンプッタタムとワット・プラタート・ドイステープ、第三はワット・ジェットヨートで構成される。政府発表は、これらを通じてランナー王国における歴史、宗教、美術、都市計画、文化的景観の展開を示す方針を説明している。UNESCOの推薦案件一覧では、構成要素は8件と記載された。
1296年に築かれたランナー王国の首都
UNESCOの暫定一覧表の説明によると、チェンマイは1296年、マンラーイ王がランナー王国の政治、経済、社会、文化の中心として築いた都市とされる。今回の推薦名称は、特定の寺院や旧市街だけを単独で扱うのではなく、都市の遺構と周辺の宗教・文化的景観を結び付けた枠組みとなっている。
タイ政府は推薦に際し、仏教を通じた他地域との交流を示す点と、チェンマイの都市および各時代の建築がランナー文明を表す点を、世界遺産としての顕著な普遍的価値の根拠として挙げている。
ICOMOSの技術評価を経て委員会判断へ
タイ政府は2026年7月、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)による技術評価ミッションを同年8月3日から8日に受け入れる準備を進めていると発表した。ICOMOSは世界遺産委員会の諮問機関で、文化遺産の推薦案件について専門的な評価を担う。
政府発表によれば、現地評価後にはタイ側への照会や追加資料の提出を含む手続きが予定されている。最終的な登録の可否はICOMOSの評価を踏まえ、第49回世界遺産委員会が判断する。現時点でチェンマイの登録は決定していない。

