タイでは毎年8月7日を「ラピーの日」とし、近代的な裁判所制度の整備や法学教育に尽力したラチャブリー・ディレックリット親王を記念する。親王の歩みと、この日が現在も公的機関や法学界で受け継がれている背景を整理する。
命日の8月7日を記念日に
「ラピーの日(ワン・ラピー)」は、ラチャブリー・ディレックリット親王の命日に当たる8月7日に設けられた記念日である。タイの政府系機関は、親王を「タイ法学の父」と位置づけ、この日をその功績を回顧する機会として紹介している。
親王の名はラピー・パッタナサックで、ラーマ5世チュラーロンコーン王の王子として生まれた。のちに授けられた「ラチャブリー・ディレックリット親王」の称号で広く知られる。タイ語の記念日名「ラピー」は、親王の名に由来する。
英国で法律を学び、司法行政へ
親王は欧州へ留学し、英国で法律を修めた後、タイへ帰国した。1896年から1910年にかけて司法大臣を務め、当時の司法制度の改革に関与したとされる。
タイ公共放送Thai PBSによると、親王は裁判所の制度整備を進めるとともに、法令の改廃や法学書の編さんにも携わった。こうした活動が、近代的な司法制度を形づくる過程で重要な役割を果たしたと評価されている。
法学校の設立と人材育成
親王の功績は裁判所の改革に限られない。1897年にはタイで初めて法学校を設立し、自ら講義も担当したと伝えられる。法を専門的に学ぶ場を設け、法曹人材を育てようとした取り組みは、タイにおける法学教育の出発点の一つとなった。
そのため親王は、司法行政の改革者であると同時に、法学教育の基盤を築いた人物として記憶されている。8月7日の記念日は、制度と教育の両面に残した足跡を振り返る日でもある。
各地で続く追悼行事
タイの行政機関や大学、司法関係機関では、ラピーの日に合わせて親王をたたえる行事が行われてきた。2024年にはタマサート大学法学部が、最高裁判所での敬礼式に教職員と学生が参加したことを公表している。
また、行政裁判所事務局も2025年8月7日、親王の記念碑に花輪をささげる式典へ職員が参加したと発表した。ラピーの日は、歴史上の人物を記念するだけでなく、タイの法と司法を支える組織がその系譜を確認する年中行事として位置づけられている。

